写ブログで書いたコロプラシリーズ。
まだまだ続いています……。
ルークが女体化していますのでご注意下さい。



ぱさり。
パチパチポチ。
部屋の中は本をめくる音と、携帯電話のボタンを押す音だけである。
ジェイドは本から視線を上げて時計を確認し、そしてソファの上に寝そべりかえって携帯電話をいじっているルークを見る。さきほどから変わらない姿勢で、彼女は携帯電話をいじっていた。
どうやら最近は夢中になるゲームをやっているらしく、ジェイドにはさっぱりだったが、しきりに出かけたがって近場から少し遠いドライブまで休みの日にダラダラと二人で過ごすよりも一緒にどこかに出かける機会が増えている。思い出作りとしても楽しいし、色々ルークと一緒に観光が出来るのはとても楽しいが、部屋の中でずっとこうも携帯電話をいじられていると、さすがに面白くない。
「ルーク」
読んでいた本をテーブルに置いて、ジェイドはルークに声をかけた。
「んー、なに?」
しかし彼女は顔も上げずに返事をする。
やれやれと肩をすくめてジェイドはルークの側まで寄るとその体を無理矢理起こした。
「目が悪くなりますから至近距離で携帯のディスプレイを見つめない」
「あーい」
注意すると、やはり顔を上げないルークだったが姿勢だけは正して行儀良く携帯をいじる。
画面を覗き込むと、そこには小さな文字が羅列し(彼女の携帯電話の文字の大きさが最小に設定されているのだ)、せわしなく画面が切り替わり、あちこちの情報を眺めているのだと分かる。
1分も開けずに書き込まれる掲示板。
それを熱心に時折、その書き込み主の所へ飛んでは何かを書き込んでいるルークにさすがに少し寂しくなる。
「ルーク」
「んーちょっと待ってー」
そればかりを繰り返すルーク。ついでに言うと「ちょっと待って」は、つい20分前に時計を確認した時にも言われた。
折角の休みの日。
互いにゆっくりと時間を取れないのだから一緒に喋ったり、それこそ旅行でも何でもしたいのに。
彼女の視線は携帯画面。
「あーんーとおおお。城は30だからー……でも広域だからなぁ……無理、むっりーー!」
小さい独り言もなんだか寂しい。
「ルーク、構ってくださいー」
「ちょーっと待っててばー」
「いーやーでーすー」
その頬にキスをした。かすめるだけのキスだったが、しかしルークはそれさえを無視をして、空いている手でジェイドの頬を撫でて……目線は携帯電話のまま。
いい加減にして欲しいものだ、愛しいルーク。ジェイドの頭の中で何かが囁く。
その瞬間。
「な、あ!?」
むにっ。
そのジェイドが贈ったルークの私服の下に隠された豊かな胸の膨らみを思い切り掴んだ。元々は手の平よりも少し大きい程度のものだったが、愛のある夜のお陰で少しばかり大きくなったそれはマシュマロのように柔らかい。触っていて気持ちが良い。
下着で上手く隠された胸の粒もゆっくりと指先で探り当てて、その感触を楽しむと、ルークがようやくこちらを向いた。
「やめろってば!!」
「構ってくれないからですよ」
「ちょっと、も……!洒落になんねーっつの!」
左右の胸をすり合わせ、刺激を与え……幾夜も過ごしてきたジェイドはルークが弱い動きを知っている。だからこそ、ルークがこちらに意識せずにはいられないようにする事が出来る。
「ルーク」
耳元で甘く囁けば、真っ赤になったルークがジェイドの名前を呼んだ。
「あ……はっ……」
ルークの唇が、だんだんと甘い吐息を漏らしていく。頬に赤みが差し、ジェイドに体重を預けるように体を倒してきた。
いざ、本格的に愛の再確認へと、ジェイドがルークの体を改めてソファに倒した時……!!
「っあああああ!!! フカヒレの原価販売きたああああ!」
甘い空気はどこへやら。
その後、無理矢理、携帯電話の電源を落とされたルークは散々お仕置きされたとか。


「うっわー!すげぇ良い景色!」
目の前でうかつにキィワードを漏らしてはいけないと、目の前の宝石を睨んだルークは、ジェイドの前でお土産の話題を出さないように気を付けようと胸に固く誓った。
……しかし、それはもろく崩れ去る。
「ルーク、次の連休なんですが温泉にでも行きませんか?」
「……!だったら、あそこがいい!」
ペロリと、目的地を告げてしまう。同時に頭の中では今から貯蓄出来るプラの量と、その原価と、取引したいものの名前がズラリと並べ上げられる。
友コロさんにもあげたいから……と普段からは考えられない演算速度を弾き出したルークの目の前でジェイドはニコニコとしていた。二人で行ける旅行が楽しいのか。
「いいですよ」
その笑顔が嬉しい。
利害が一致したとは言い方が悪いが、ルークにとっては願ってもない申し出だ。
「たっのしみだ!」
「えぇ、そうですね」


長らく車に揺られる事、2時間。
ようやく見えてきた紅葉にルークは頬を染めて興奮していた。
「ジェイド!ほら!あそこのグラデーション超綺麗!」
「えぇ、そうですね」
そんなルークの様子を見て、ジェイドはルークを旅行に連れて来て良かったと目元を綻ばせた。
……相変わらず携帯電話がルークの左手から離れないのが気にくわないが。
「写メっちゃおー」
パシャリ!
綺麗な紅葉と運転するジェイドを一つの画面に写し、シャッターを切るとルークはまた窓の外を眺める。
「運転させて悪いな。なんか俺ばっか楽しんでて」
「私も楽しんでますから、お気遣い無く」
いよいよ谷を渡り、目的の温泉宿が見えてきた。
「よっしゃー温泉ゲット!」
ぽちり。
相変わらずルークは携帯から離れない。


老舗だという旅館は品の良い調度品と社員の対応に、日頃の日常とは別世界に来たような錯覚を起こさせる。
案内されたのはツインの和室。
丁度、紅葉が美しい山と足元に流れる沢が見える部屋だった。
「すげぇー!って、この部屋、高かったんじゃねぇか?」
荷物を放り出し、景色を見渡すルークが不安そうにジェイドを振り返った。
ジェイドも荷物を適当に寄せると障子の近くにいるルークに歩み寄り、そっと抱き締めた。
「折角の旅行です。しかも、二人きりですよ?」
額ぬ、頬に、鼻にキスを落とすジェイドはにこやかだ。
くすぐったいとルークは身をよじるが、すぐさまジェイドの手がおいかけてきて、唇が重なった。
「ん……」
ペロリと唇を舐めて、ジェイドはルークを見ると、ルークは真っ赤にだった。
「馬鹿」
「誉め言葉ですね」
照れているのだ。ルークはジェイドの肩を押し退けると、ドカッと座椅子に座りテーブルに用意された茶菓子を頬張る。
「さて、夕食まで時間もありますし、お散歩でも行きましょうか?」
ポンポンと頭をつつかれ、ルークは頷いて席を立った。