拍手お礼のSSログ部屋です。
いつもいつも沢山の拍手ありがとうございます!
ここでは今までの拍手お礼のSSをログ形式でずらっと並べていきます。
下のものほど古いです。
(2009年3月半ば〜2009年12月半ばまで)
「背中を向けないで」
いっつもその背中ばかり見ていた気がする。
やさぐれていて、それでもって見えるものが全てゆがんでいたから、その背中が嫌味にしか見えなかった。
余裕もった大人。
子ども扱いしやがって。
だから、彼の後ろは絶対に歩かない。
背中は見ない。
でもあの時から、胸に何かを覚えてからは背中を見ていると苦しかった。
でも正面から顔を見ると正直、心臓が止まりそうなほど緊張して、背中を見る事しかできなかった。
バレバレだと、分かりやすいと仲間からは馬鹿にされたけど……。
隣を歩きたいと思ったのはいつだったろう。
彼の背中でも正面でもなくて、隣に立ちたい。
手をつないで、横顔を見たい。
「じぇいど!!!!」
今日も、その大きな背中を追い越さないで、隣に走っていく。
END
(2009年3月半ば〜2009年12月半ばまで)
「雨にくらむ世界」
湿気漂う部屋は思った以上に暗くて雰囲気が悪い。
それでもルークは部屋の外を見ていた。
誰を待つわけでもない、それしかやる事がないから、そうしているだけだ。
待っていたって誰も来るわけがないのだ。自分がそう望んだ。誰も部屋に入ってくるなと言ったのだ。
カッとなっていたのは分かっている。それでもどうしても許せなかった。ジェイドが、他の誰かと喋っているのが。
「かっこ悪りぃ……」
他愛の無い世間話をしているのだとは分かっていた。
だか、自分とは違う誰かと談笑している様子が、嫌だった。胸がざわめき、背中に虫唾が走った。
こんな予定じゃなかった。
もっと大人の対応をして、もっとちゃんとジェイドをきちんと見ていて、傍にいたかっただけなのに現実はこうも自分を追い詰める。
ジェイドが他の誰かと喋るのが嫌だ。
ジェイドが他の誰かと一緒に歩いているのが嫌だ。
ジェイドが自分以外の誰かに触れるのが嫌だ。
ジェイドの全てが自分に向かっていなければダメだ。
こんなにも弱い自分。
こんなにも嫉妬深い自分。
外の雨は部屋を明るく照らした。
寝そべるベッドの上、ルークは人知れず涙をこぼした。
「ジェイド……」
どうして会いに来てくれないの。入ってくるなって言ったんだから、入ってきて欲しい。
この胸の暗い感情を今すぐ消して欲しい。
「ジェイド」
トントンと部屋をノックする音が聞こえる。
どうして、強引にノックしないで入って来ないのか。ルークは、枕に顔を伏せ、吐息を押し殺した。
早く傍に来てくれればいいのに。
END
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