拍手お礼のSSログ部屋です。
いつもいつも沢山の拍手ありがとうございます!
ここでは今までの拍手お礼のSSをログ形式でずらっと並べていきます。
下のものほど古いです。





(2008年5月半ば〜2009年3月半ばまで)
「甘い花びらで」

唇を寄せたセレニアの花は甘い香りがした。
心いくまで香りを堪能しようと目を閉じて深呼吸を繰り返していると背後で笑う気配がする。
「……なんだよ」
「いえ? 花の香りを楽しむなんて可愛らしいなと思いまして」
「また馬鹿にして」
馬鹿にしてなんていませんよといいながら、背後の気配はしゃがんで同じように花を摘んだらしい。
すうっと深呼吸する音が聞こえた。
「春先の香りがしますね」
「だろ?」
また深呼吸。
甘い香りが鼻をくすぐるが、やがて香りは消えてしまう。
ごめんな、ありがとうと言いながら地面にそっと戻してやると背後の気配が何故か急に抱きついてきた。
「わ!!」
「私には花の香りよりもあなたの香りの方が好きですよ」
花びらを一枚くわえた唇が、そっと頬を撫でた。
仕方無いなと苦笑しながら振り返り、甘い香りのする花弁をくわえてやった。


END





(2008年5月半ば〜2009年3月半ばまで)
「戸惑い」

チクタクチクタクと律儀に針の音が進む。
ルークはそれをボンヤリと眺めていた。
後何回回ったら帰ってくるのだろう。
後何回針が進んだら帰ってくるのだろう。
そればっかり考えていた。
今日は会議があるから遅くなると言っていた。いつもの執務室で待っていようかとも思ったが、どうやら相談事を持ち込む人が多くて途中から自分で退散したのだ。
軍部を出て、ジェイド行きつけの酒場でちょっと時間を潰させてもらって、夕陽を眺めて、港の波止場でカモメと船を見送って潮騒を耳で聞いて。
全部一人で。
寂しいと思ったら、我慢できなかった。
ちょっとだけと思って、軍部の会議室を覗いてみたのだ。
場所は知っていたし、以前ピオニーと一緒に城内隠し通路候補なるものを一緒に探して歩いた時に見つけておいたポイントがある。そこに行って、少しだけ窓の中をのぞいてみる。
難しい字が画面に映っていた。
将軍らしき人が何かを喋るとジェイドはサラサラと何か書いて、立ち上がり喋りだす。
眼鏡の奥が鋭い。
自分の知っているジェイドじゃない。
自分の知っているジェイドはもっと、優しい顔をしている。
こんなに難しい顔で喋らない。
ルークはきびすを返して宿に帰った。
チクタクと針が進む。
ジェイド、まだかな。
ベッドの上で足がパタパタ動いた。


END





(12月半ばから5月半ばまで)

「すみませーんww ネタがありませんーww」
「ま・た・か!」
「まぁまぁ怒らないでくださいルーク。もはや常套句のようなものです」
「そう言って前回なんて半年も放置してたけどな!!!」
「っぐ。痛いことを」
「なのにアレだぜ、俺たち以外の話だって別館で始めてるんだぜ!?ひどくね!?」
「まー書きたい時が書きどきなんですよ」
「ガイみたいな事言ってんじゃねーよ」
「いいじゃないですか。あんまりカリカリしては、噂のガイのようにはげてしまいますよ?」
「ハゲてんのはペールだっつの!!!」
相変わらずノロノロ更新ですが、宜しくおねがいします〜〜。

END





(12月半ばから5月半ばまで)

「背中を向けないで」

いっつもその背中ばかり見ていた気がする。
やさぐれていて、それでもって見えるものが全てゆがんでいたから、その背中が嫌味にしか見えなかった。
余裕もった大人。
子ども扱いしやがって。
だから、彼の後ろは絶対に歩かない。
背中は見ない。
でもあの時から、胸に何かを覚えてからは背中を見ていると苦しかった。
でも正面から顔を見ると正直、心臓が止まりそうなほど緊張して、背中を見る事しかできなかった。
バレバレだと、分かりやすいと仲間からは馬鹿にされたけど……。
隣を歩きたいと思ったのはいつだったろう。
彼の背中でも正面でもなくて、隣に立ちたい。
手をつないで、横顔を見たい。
「じぇいど!!!!」
今日も、その大きな背中を追い越さないで、隣に走っていく。



END





(7月半ばから12月半ばまで)

「拍手をぱちり、ありがとうございます」
「本当にありがとな!」
「おやールークが素直にお礼を言ってますねぇ珍しいことです」
「んな!?いつの話を掘り返してんだよ!」
「ゲーム本編では2ヶ月と経っていない、長髪ぼっちゃまの頃ですw」
「あーのーこーろーはぁぁぁあ」
「まだ私の事を好きじゃありませんでしたねー」
「はぁ?!」
「つれなくて寂しかったですよー」
「ちょ、まてよ!その話はしてないだろ!俺の性格の話じゃ」
「あぁでも夜眠ってる姿は今と変わらず可愛らしかったですよ」
「あぁありがとっておい!!!!」
「寂しいのか額を撫でるとすごく嬉しそうな顔をしたんですよ」
「おま、そんな事してたのか!!」
「ついでに、つまみ食いもしてましたw」
「セクハラじゃねーか!」





「眠れない夜の子へ」(7月半ばから12月半ばまで)

環境が変わると寝付けないのか。
ティアの話では神経が図太くあっと言う間に寝付くと聞いたから、仕事も邪魔されないだろうと思い同室を志願したのだが、予想外にも子どもは夜更かしをした。
ベッドの上を右に左にゴロゴロ。果てはこちらの仕事をしている様子をのぞきにきては、溜息を漏らして部屋の中をうろつく始末。
どうにか静かに眠って欲しいと思う。
はっきり言って邪魔だ。
「なぁジェイド」
静寂にも耐えられないのか、子どもはこちらの都合お構い無しに話しかけてくる。
ここで嫌味の一つを言わなければ気が済まない。
書類に走らせていたペンを止めて身体ごと子どもの声のした方を向いた。
「なんですか、お坊ちゃま」
ぎしり。
子どもの乗っていたベッドがきしんだ音が聞こえた。
「暇つぶし。付き合ってくんね?」
子どもは、いつの間にか健康的に焼けた身体を惜しみなくランプの下にさらしていた。
緑色の目が挑発的に、こちらを見ている。何を考えているのだろうか。隣の部屋にはガイだっている。通路をはさんだ向かいには女性陣が泊まっている部屋がある。
何を考えているのだ。
「暇つぶし。何回もせがむつもりはねーよ」
一回だけでいいから、さ。ニコリと笑った。
無邪気そうな顔で。唇を舐める仕草。
「……何を考えているんですか。明日も早いんですよ」
慣れているのか、それとも、からかっているだけなのか。
判断がつかないまま、再び書類の方を向いてペンを取る。なるべく子どもを見ないで済むように。
「なんだよ、自信ねーのか」
知ってか知らずか、子どもの声が響く。
取り合うな。
子どものたわ言が。
「人肌が恋しいならガイの所へ行きなさい。正面には女性の部屋もありますから」
サラサラ。印鑑も押す。
仕事をしないと。
「あんたがいいって言ったら、どうする?」
「任務中です」
「俺はあんたがいい」
「あなたに付き合っていたら身体がもちません」
「一回だけでいいんだ」
「結構です。私はあなたを求めていません」
だから早く寝てくれ。
心の中で分からない、ともし火が灯る前に。



END





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