『日記』


いとしいあのひとにあてたてがみは、るーくのたからものだった。
あのひとが、くるしゅんかんに、にっきをとじるのは、なかのにっきをよまれないための、るーくのひっしのこうどうだというのに、あのひとは、そんなるーくのこうどうをはなでわらう。

「どうせ私の事ばっかり書いていたんでしょう」
「な……っ違う!自意識過剰もいい加減にしろよな」

なかみをあてられて、ほんとうはずぼしをさされたというのに、あまのじゃくにも、はんろんしてしまう。
べっどがぎしりといった。
ひさしぶりのふたりべやだと、どうしてもきんちょうしてしまう。
ほかのなかまにはしられていないからこそのきんちょう。
いつだれがくるともわからないのだ。ふひつようにふんいきをださないでほしい。

「ルーク、こっちに来ませんか?」

ぽんぽんとじぶんのとなりをたたくおとこは、るーくのだいすきなえがおをうかべているから、にくらしい。

「いい。ガイが来るかもしんねーし」

つれないですねぇとかたをすくめたのは、わざとか。しっているくせにと、るーくはくちびるをとがらせた。
だが、だんだんとへやでふたりでいるのに、ふたりのきょりがせつないことにきづく。
ちょっとだけならへいきかな。

「おや、珍しい」
「ちょっとだけだ、ちょっとだけ!」

すとんといとしいひとのとなりにこしをおろして、そのうっとりするかおりをむねいっぱいにすいこんだ。



END







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