『熱』
ギシっとベッドが軋んだ。二人分の質量が一ヶ所に密集するのだ。当然だろう。
軋んだ後にしばらくは唇が重なる音と、かすかな水音だけが響く。
「はぁっ」
かすれた声がルークの口から漏れた。呼吸と切なさと物足りなさと。
腕を伸ばして首に回す。
クスリと気配で笑ったのが分かる。
「良い子は嫌いじゃないですよ」
そう言ってジェイドがルークの耳たぶを噛んだ。ルークの身体がぴくっと反応して熱い吐息をもらす。
触って欲しいとばかりに染まる肌に手を這わすとルークの切なそうな声が空間と鼓膜を震わせる。
「やんっじぇーど」
胸でとがる粒を指の腹で押してやるとルークは耐えるように唇を噛んで声を出さないようにしていた。
「ルーク」
誘うように声をかけると、「ん?」とかすかに唇が開く。そのまま重ねて舌をすりあわせると、まだ桃色だった粒がきゅっと固くなり、ジェイドの指の腹を押した。
「ルーク」
確かめるように名前を呼んだ。
「あんっ…じぇーど」
身体を震わせながら、離れていこうとするジェイドの唇に舌を伸ばす。
その唇に伝う感触に腰本が熱くなるのを感じつつ、また唇を重ねた。柔らかい口内でまだ幼い誘いをする舌先を遊ぶと、もどかしそうにルークが股をすりあわせ始める。
唇を離すとルークはぽうっと頬を染めてジェイドの顔を見つめていた。
「今日はどうしますか?」
胸の粒を指でこねつつ、鎖骨に歯をたてると気持ち良さそうなルークの声が聞こえる。
ルーク自身も少しずつ反応がみえていて、柔らかい下生えの中から顔を覗かせようとしていた。
片手で脇腹をさすりながら、わざと聞く。
「んっ……あぁんっジェイド」
「言って下さらないと分かりません」
鎖骨から胸へと舌を滑らすと、ルークの身体がフルリと震える。
触って欲しいと小声で漏らすルークに、どこを?と聞くと睨まれた。
まだ力の入る指がジェイドの髪を掴んで引っ張る。
「いじわるしないで」
まだ理性の残っている瞳が、恥じらって目尻に涙を溜める姿が愛らしい。
「いじわるなんてしてませんよ。いつだって貴方のいいようにしてあげます」
そう言って片手を下げる。太ももを先から付けねにかけて撫でるとルークはくすぐったそうに腰をよじる。
そのまま服の上からそこをさすってやる。柔らかく、揉む。
「んっふぁ……あぁん」
「ここですか?それとも、こちら?」
舌先で遊んでいた粒をかじる。
「ひゃんっ」
一際高い声がルークから漏れる。そこは、熟れた色をしてジェイドの唾液に濡れて妖しく光っている。もっと食んで欲しいかのように。
「ルーク、声は抑えないで下さいね」
再び唇を噛んで声を抑えようとするルークをたしなめた。
「だってっふぁ……はずかし」
「今更じゃありませんか」
ずるりと下着ごと服を脱がせる。
下着に小さな染みを作っていたルーク自身が空気に晒されてピクリと震えるのを見て、ジェイドは妖しい輝きを、その目にともした。
「さ、言って下さい。どうしましょうか」
脇腹や胸の飾りをかすめるようにして、手全体を使ってゆるい愛撫を加えるとルーク小さく鼻に抜けるような声を出す。
天を仰ぐそれには触れず、その奥にある蕾にも触れない。
かたくなに口を閉じ、何も言わんとしているルークの耳にジェイドは舌を這わせた。噛んで、差し込んで、ヌルリと舐めるとルークの目尻からは涙が溢れた。
「あっ…はあぁ」
「言わないと、ずっとこのままです」
頬をザラリと舐めてやると涙のせいか、しょっぱい味が口の中に広がった。悪くない。
にやりと笑いつつ、そのままルークの反応をうかがった。
熱のこもった瞳を薄く開き、唇を震わせる。
「あ、う……その」
ルークが、たるそうにシーツを握っていた手を離し、そろそろと上に乗っていたジェイドの下半身に手を伸ばした。
まさかと思う。
ルークを見つめていると、視線があちらこちらとさ迷いつつも、頬は染めて唇は閉まっている。
ルークの手が一瞬、躊躇したように感じたが、そろり、とジェイドに触れた。
「ルーク?」
珍しい事もあるものだと、ジェイドはルークの名前を呼ぶ。
ルークの手は恐る恐るといった感じで、ジェイド自身を両手で包み込んだ。
愛撫としては幼すぎて緩すぎて笑えてしまうが、あまりに今迄とギャップがありすぎてルークの手の中で固くなるのを感じた。
「っあ」
ルークもそれを感じたのかビクリと手を離しかける。
しかしチロリとジェイドを見ると、彼はただルークの行為を見守っているだけで。
「どうしました」
「あ、あ……」
にこりと笑った表情が、あまりに艶やかで。
ルークはジェイドをさすりながら、自分の足をジェイドの足に絡ませて。
もう、どうしようもない。
これは、堕ちろという証。
「これで、ぐちゃぐちゃにして」
ルークの手の中からは、ニチャニチャと卑猥な水音が立っていた。
END
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