『あなたがいたから』
寝返りを打つと、ベッドの音がやけに大きくぎしりと鳴った。そして一瞬しまったと思って目をかすかに開ける。
そして、後悔。
そこには、潰したかもしれないと思っていた子供の姿が無かったからだ。あぁ、とまた目を伏せる。
慣れるようで慣れるものではない。
恐怖におびえた子供の背中をあやした日。
可愛さ余って鳴かせた日。
喧嘩しながらも肌を寄せ合った日。
過ごした夜の回数だけ、彼と一緒にいたから。
だから、シングルサイズのベッドでも片側によって寝るクセがついてしまった。夜遅くまで起きていてもベッドで安らかに寝息を立てる彼の傍にもぐり込むのが日常になっていて、いつの間にか一人寝を忘れてしまっている。
ネクロマンサーという者が情けない。
瞳を閉じながら苦笑した。
それでも片側に体温が宿る事はなく。
夜は更けていく。