『押し黙る心』


「あぁ、またお腹を出して寝て。風邪を引きますよ?」

と言いながらも目は優しい光りを帯びて、ちっともとがめていない。むしろその世話一つ一つが大事な様に丁寧に毛布をかけてやる。
眠ってしまっている当人はすぅすぅと毛布をかけられたのにも気付いた様子は無く眠り続けている。寝汚いのはこういう時に役に立つ。
この表情が見られないから。

「ルーク、愛していますよ」

普段、どれだけ突っ張っていようとも。
どれだけ言葉汚く罵っていても。
どれだけ強がっていても。
その心が弱いままで、もろい塊のままならば、支えてあげたい。
どうかこれ以上強くならずに自分を頼って欲しい。
フォミクリーだとか、レプリカだとか、そんな関係よりももっと強力で強い絆が欲しい。
あなたの一部でありたい。
私の一部があなただったらどんなに良かっただろう。

「愛しているんです」

どうか、気付いて下さい。



そっと指を絡ませて唇を重ねる頃、彼はどんな夢を見ていたのだろうか。



END







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