『例えば…』
「あなたがこの世界から消えたら、私は何もできなくなりますねぇ」
クスクスと笑いながらジェイドがルークを抱き寄せた。
狭いベッドの中ではただでさえ密着するのに、さらに抱き寄せられると少し息苦しい。
「はぁ?何言ってんだよ」
息苦しさに耐えかねてもぞもぞと心地居場所を探す。するとジェイドは腕枕を作ってくれるのでそれに頭を乗せる。
視線が合った。
「例えば、の話です」
ジェイドがルークの額にキスをする。
「どうしてそんな事、突然言うんだ?」
心当たりがあるのか無いのか、ルークが少し影のある表情で聞いてくる。
分かっている。
知っている。
彼が断言出来ないのを誰よりも知っている。
だから、あえて言う。
「あなたが今の私の全てだからですよ」
どうか消えないで下さい。
ルークがジェイドの胸にすり寄って、熱いため息を漏らした。
END
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