『お年玉』
「あ、見て下さい!あれ!射的!響也さん出来ますか?」
あっちにパタパタこっちにパタパタまるで落ち着かない様子の法介に響也は苦笑しながら、はいはいと付いて歩く。
近所の神社に縁日が出ているとお誘いを貰って、法介のアパートに迎えに行くと既にハイテンションな法介が出迎えて、あれよあれよと連れて来られた。
「じゃ、最高点出したら、法介は何してくれる?」
「出してから言って下さいよ〜」
「まぁまぁ」
年始早々に見れるとは思っていなかった法介の無邪気な笑顔が眩しい。
「じゃぁたこ焼き買ってあげます」
「もっと良いものが欲しいなぁ」
「じゃぁくじ引きおごるんで自分で良いもの当てて下さい」
ほらほら!
法介に引きずられるようにして射的屋の前に連れて来られた。
やる事に異議は無いけれど、景品は……。
「じゃ、最高点出したら法介の姫初め、今日するから」
「……?」
にこりと笑うと法介はキョトンと分からない顔をする。
意味は分からなくていい。
自分へのお年玉だし。
「おやじ、ガリューウエーブのガリューが作る記録、店の歴史に刻みなよ」
そして優雅に構え、その日の最高点を叩き出したのであった。
END